日常の延長線上にあるはずの「西武新宿駅」。
しかし、そのホームの端に停まる「西武旅するレストラン 52席の至福」の前に立てば、そこが秩父へと続く「美食の入り口」であることに気づかされます。
わずか52人という選ばれたゲストのためだけに用意された、動くレストラン。
その扉が開く瞬間から、特別な旅は始まっています。
この記事では、乗車体験を中心にご紹介します。

▶︎ 秩父到着後の街歩きは→「秩父散歩編」 に続きます。
1. 隈研吾氏が仕掛けた「視覚の魔法」
4両編成の各車両は、秩父の四季と自然をテーマにデザインされています。
列車に一歩足を踏み入れると、そこは駅のホームとは別世界。
この列車の魅力のを感じる最初の体験となるのが、日本を代表する建築家・隈研吾氏が手掛けたインテリアです。
まずは今回利用した、2号車。
伝統的な柿渋を塗った和紙が、車窓から差し込む陽光と相まって、美しい陰影を作り出します。

一方、4号車は、より「隈研吾さんらしさ」が際立つ空間。
こちらは「木」を贅沢に使ったデザインが特徴です。
洞窟のような、あるいは雲のような有機的な曲線を描き、電車の車内であることを忘れさせます。
窓の外を流れるビル群の直線的な景色と、車内の柔らかな曲線のコントラストが、旅情を加速させます。
2号車の「紙」の質感、4号車の「木」の質感。
このコントラストを歩いて体感するだけで、一つのアート鑑賞をしたような満足感があります。

車両をゆるやかにつなぐ“ちちぶ銘仙”
車両をゆるやかにつなぐのが、、秩父の伝統織物「ちちぶ銘仙」を使った暖簾です。
この暖簾が、ここが単なる観光列車ではなく「地域とつながる食の空間」であることを印象づけます。

2. ライブキッチンの鼓動を聴く
2号車と4号車の客席の中間に位置する3号車は、車両全体が「オープンキッチン」となっています。
「ブランチコース」という名前から軽食を想像するなら、それは嬉しい誤算になるでしょう。
ここはまさに、揺れる車内で、最高のパフォーマンスを発揮するシェフたちの戦場です。
通りがかるたびに五感を刺激する演出は、これまでの鉄道旅にはなかった体験です。

3. 旬を閉じ込めた「秩父へのプロローグ」
料理は、有名シェフが監修する期間限定のコース。
沿線の地場産野菜や、秩父の名水で育った食材が主役です。
2026年1月〜3月は「滋賀×秩父」のコラボ!
今期のメニューは、滋賀県出身の布山純志シェフ(La gueule de bois)が監修。
滋賀の豊かな食材と、秩父の沿線食材が融合した、この列車でしか出会えないコースです。





4. 秩父のテロワールを、グラスと皿に映して
この列車の醍醐味は、料理のみならず、厳選された「地酒」とのペアリングにあります。
まずは、喉を潤す「FEST365「52席の至福」(ピルスナー)」から。
華やかな香りが、旅の始まりを祝してくれます。
食事に合わせて選びたいのは、秩父の風土が育んだ「兎田(うさぎだ)ワイン」。
繊細な酸味がお肉料理の旨みを引き立て、会話も自然と弾みます。
そして、食後には世界的に評価の高い「イチローズ・モルト」を。
琥珀色の液体を揺らしながら、流れる景色を眺める時間は、まさに大人のための至福のひとときです。
料理に添えられるパンにも、語るべき物語があります。
秩父駅近くの名店「ラパン ノワール くろうさぎ」のパンは、外は香ばしく、中は驚くほどしっとり。
小麦の力強い香りが、沿線の旬を活かしたコース料理にそっと寄り添います。

5. 線路沿いに咲く、人の温もりというおもてなし
ブランチコースが中盤に差し掛かる頃、窓外に心温まる光景が広がります。
沿線では、西武鉄道のスタッフの方々が「歓迎の旗」を振り、笑顔でお手振りのパフォーマンスをしてくれるのです。
予期せぬおもてなしに、車内には自然と温かな空気が流れます。自分たちの旅が、この土地の人々に祝福されている――。
そんな実感に、思わず窓越しに手を振り返す瞬間、この旅を選んで良かったと確信するはずです。

【旅のインフォメーション】
- 運行区間: 西武新宿 ⇒ 西武秩父(ブランチコース)
- 料金: 15,000円(税込)※2026年4月以降は16,000円。改定前の今が狙い目です
- ドレスコード: 「スマートカジュアル」がおすすめ。お気に入りの靴を履いて、非日常に浸りましょう。
- 詳細・ご予約は公式サイトから 西武 旅するレストラン 52席の至福
6. 結びに:初めてのレストラン列車に、「52席の至福」を
「レストラン列車は初めて」という方にこそ、この「52席の至福」をおすすめします。
洗練されたサービス、地元の名店とのコラボレーション、そして沿線の人々の温もり。
すべてが絶妙なバランスで調和しています。
西武秩父駅に降り立ち、秩父のシンボル・武甲山を仰ぎ見る頃には、心はすっかり解きほぐされていることでしょう。
「52席の至福」の乗車チケットには、西武秩父駅前温泉「祭の湯」や秩父の街歩きで使える、嬉しい特典があることも。
旅の余韻を抱えたまま、秩父の街を散策し、温泉に浸かる。
そんな「完璧な休日」を、ぜひ大切な人と分かち合ってください。

列車の旅を楽しんだあとは、秩父の街へ。
駅から無理なく歩ける観光コースを、実際の順路で紹介しています。
→ 秩父散歩編はこちら

コメント