【私の原点】52席の至福 乗車記|美食とレトロな秩父散歩。いつか東京ステーションホテルで叶えたい旅の完成形

【関東・甲信越】

偶然の予約が変えた、私の旅のスタイル

「ランチに1万円以上……、少し高いかな?」

数年前、西武鉄道の公式サイトを眺めていた私は、正直そんなふうに思っていました。それまでの私にとって、列車はあくまで目的地へ向かうための「移動手段」。

「でも、首都圏発着でこれだけ珍しい体験ができるなら一度くらいは……」

たまたま運よく取れた1枚の予約。それが、私の旅の概念を根底から変えることになりました。西武新宿駅から西武秩父駅まで、わずか3時間。しかしその車内で味わったのは、単なる食事ではなく、人生を豊かにしてくれる「至福」の時間だったのです。

あの日、52席の至福に揺られていなければ、私は今こうして全国のレストラン列車を巡り、一休.comで宿を厳選し、パズルを解くように旅のプランを練ることはなかったでしょう。

今回は、私の旅の原点であり、今でも「特別な一日の正解」であり続ける、西武鉄道「52席の至福」の乗車体験を綴ります。

【車内へ】トランプのロゴに誘われ、隈研吾氏が描く別世界へ

池袋駅から、あるいは西武新宿駅から。ホームに滑り込んできたのは、トランプのマークのようなロゴが散りばめられた、パステルカラーの水色の列車。その軽やかな外観を目にした瞬間から、日常の喧騒はどこかへ消え去り、非日常のスイッチが入ります。

秩父へ向かう「52席の至福」外観
柿渋和紙の天井とセットされたテーブル
曲線を描く「木」を贅沢に使った車内

アテンダントさんの穏やかな笑顔に導かれ、一歩車内へ。

4両編成の各車両は、秩父の四季と自然をテーマにデザインされています。
列車に一歩足を踏み入れると、そこは駅のホームとは別世界。
この列車の魅力のを感じる最初の体験となるのが、日本を代表する建築家・隈研吾氏が手掛けたインテリアです。
利用したのは2号車。伝統的な柿渋を塗った和紙が、車窓から差し込む陽光と相まって、美しい陰影を作り出します。

一方、4号車は、より「隈研吾さんらしさ」が際立つ空間。
こちらは「木」を贅沢に使ったデザインが特徴です。

【食事】名店が紡ぐ「一期一会」の美食と、秩父の銘酒に酔いしれる

52席の至福のメインイベントは、有名シェフが監修する期間限定のコース料理です。前回乗車した2026年1月〜3月期は、名店「La gueule de bois(ラ・グール・ド・ボワ)」が手掛ける、滋賀と秩父の食材が響き合う特別なコラボレーション。

中でも感動したのは、秩父の人気ベーカリー「ラパンノワール くろうさぎ」のパンです。噛みしめるほどに小麦の旨みが広がる絶品のパンは、シェフの料理をさらに引き立ててくれます。

この美食をさらに彩るのが、秩父が世界に誇る銘酒たち。
「イチローズモルト」の芳醇な香りや、地元の「兎田(うさぎだ)ワイン」をグラスに注げば、車窓を流れる景色までもがご馳走に変わります。

食事の合間には、嬉しい忙しさも待っています。
沿線の駅員さんや、近隣にお住まいの方々が、列車に向かって大きく手を振ってくださるのです。こちらもグラスや手を振り返して応える。その温かな交流に、自然と笑顔がこぼれます。美味しい料理と、人の温かさ。その両方が、この3時間をかけがえのないものにしてくれました。

ライブキッチンの熱気。

目の前で仕上げられる緊張感と香りが、最高のスパイスになります。


【散策】美食の余韻に浸り、レトロな秩父を歩く

西武秩父駅を降りたら、すぐの「祭の湯」でリフレッシュするのも良いですが、少し足を延ばして番場通りを歩いてみてください。

番場通りのレトロな街並み
鮮やかな彫刻が施された秩父神社
  • 番場通り: 昭和レトロな建物が並ぶ、どこか懐かしい石畳の道。
  • 秩父神社: 鮮やかな極彩色の彫刻は必見。旅の安全を願って参拝を。
  • 秩父まつり会館: 冬以外でも「秩父夜祭」の熱狂を体感できるスポットです。

時期によっては「夜街さんぽ」などのライトアップイベントも開催されており、昼とは違う幻想的な秩父に出会えることもあります。

西武秩父駅「祭の湯」と、未来の列車「ラビュー」

西武秩父駅のすぐ隣には「祭の湯」が待っています。露天風呂で身体をほぐし、旅の余韻に浸りながらお土産を選ぶ。

西武秩父駅に隣接する祭の湯。駅直結のお土産ショップも充実。
特急ラビューの心地よい座席。車窓を眺めながら乾杯!

帰路は、最新の特急「ラビュー(Laview)」を指名。
足元まで広がる巨大な窓から眺める夕景は、52席の至福とはまた違う「空を飛ぶような」開放感を与えてくれました。

【理想のフィナーレ】西武の終着から、鉄道の「起点」へ繋ぐ旅

「52席の至福」をこれまで数回、日帰りで楽しんできました。でも、私の中にはずっと温めている**「旅の完成形」**があります。

未来的な「ラビュー」に乗り換えて西武線の終着駅・西武新宿から、たどり着くのは、日本の鉄道の起点・東京駅。この旅の締めくくりにふさわしいのは、やはり駅舎そのものである**「東京ステーションホテル」**への宿泊だと思うのです。

  • なぜ、ここが「聖地」なのか
    100年以上の歴史を紡ぐ名建築。ドームサイドの客室から、行き交う人々と列車の流れを眺めて眠る時間は、鉄道旅を愛する者にとって究極のフィナーレです。
  • プランナーとしてのこだわり
    「レストラン列車の高揚感を、翌朝の静寂まで途切れさせない」。そんな1ミリも妥協しないプランを実現するために、私は今日も一休.comの空室カレンダーをチェックしています。

憧れの景色を独り占めできるその日まで、私の「旅のパズル」はまだ終わりません。

「52席の至福」を確実に予約するために

非常に人気が高いこの列車を予約するには、大きく分けて2つの方法があります。

1. 自力で予約する(難易度:高)


西武鉄道の専用サイトから申し込みます。発売開始と同時に席が埋まることが多いため、事前の準備が欠かせません。

2. ツアーを活用する(おすすめ)


52席の至福は非常に人気が高く、公式サイトでの自力予約はまさに「争奪戦」です。もし希望日が満席だったり、自分で手配するのが不安だったりする場合は、旅行会社のツアー枠をチェックしてみてください。

詳しい「予約の裏ワザ」や「キャンセル待ちのコツ」については、こちらの記事にすべてまとめています。

「まずは自分で取りたい」という方へ。争奪戦に勝つコツをまとめました。

公式サイトで満席でも諦めないで。一人参加も多い「ツアー枠」が穴場です。
サイトのキーワード検索で「52席の至福」と入れてください。

日常を「至福」に変える、最初の一歩

あの日、西武新宿駅のホームで水色の列車を待っていた私は、まだ知りませんでした。この3時間が、私の旅の概念を根底から覆すことになるとは。

それまでの私にとって、列車は「目的地へ向かうための手段」に過ぎませんでした。しかし、52席の至福が教えてくれたのは、「列車そのものが旅の目的地になる」という、新しくて贅沢な驚きでした。

あの時、車窓の美しさに息を呑み、名店のパンや秩父の銘酒に舌鼓を打った感動。それをもう一度味わいたくて、気づけば私は一休.comで極上の宿を探し、JTBやクラブツーリズムのサイトを巡って、日本全国の線路を追いかけるようになっていました。

もしあなたが「レストラン列車ってどうなんだろう」「少し贅沢すぎるかな」と迷っているなら、まずはこの「52席の至福」から始めてみてください。都心からすぐ手が届く場所にある、非日常への入り口。

一歩足を踏み入れれば、きっとあなたも「次の旅」を計画したくなるはずです。

1ミリも妥協したくない特別な日のために、私の経験があなたの素敵な旅のヒントになれば、これ以上に嬉しいことはありません。


迷っているなら、まずは一歩踏み出してみませんか?

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