山梨県の小淵沢駅から長野県の小諸駅を結ぶ、JR小海線。標高日本一の最高地点(1,375m)を走ることから名付けられた観光列車が「HIGH RAIL 1375」です。
東京からのアクセスも抜群なこの列車。夜の「星空便」で降るような星空に包まれ、翌日の「2号」で絶景の車窓を楽しむ往復乗車は、大人の休日を贅沢に彩ってくれます。
今回は、旅行者の体力や目的に合わせて選べる「東京発着の2つの王道モデルコース」を、実体験に基づいたリアルな飲食・宿泊対策とともにご紹介します。


【東京発着】スケジュールと体力に合わせて選べる2つのモデルコース
<Course 1> ゆったり安心ルート|星空列車と信州街歩きを楽しむプラン
移動の無駄を省き、1日目の夜はすぐに休みたい方向けの最もメジャーな安心ルートです。
- 1日目:
東京・新宿駅から特急「あずさ」で小淵沢駅へ。
小淵沢駅から「HIGH RAIL 星空」に乗車し、野辺山駅での感動的な星空観察を経て終点の小諸駅へ。
宿泊は、乗客の多くが選択する駅近くの「小諸グランドキャッスルホテル」が正解。 - 2日目:
翌朝、しなの鉄道で上田駅へ移動。上田城跡公園や北国街道・柳町のレトロな街並みをのんびり散歩。帰路は引き返さず、上田駅から北陸新幹線に乗り込んでスマートに東京へ一瞬で帰宅します。
<Course 2> 欲張り弾丸ルート|星空も昼の絶景も諦めない満喫プラン
星空列車も昼の絶景車窓も諦めない!弾丸プラン(私はこちら)
「せっかくなら夜の星も、昼の八ヶ岳の車窓も両方見たい!」という、体力に自信がある方向けのプランです。私が実際に体験したのもこちらのルートです。
- 1日目:
特急あずさ ➔ HIGH RAIL 星空に乗車(1号車・1人掛け席を確保)。野辺山駅の真っ暗闇の中で降るような星空を堪能し、オリジナルビール「星のふる夜に」を片手に小諸駅へ。
小諸駅に22時前到着後、のんびりせず終電で一気に上田駅前まで移動して宿泊します。
宿は、駅の目の前にある「上田東急REIホテル」または「ホテルルートイン上田駅前グランド」をハブに。上田駅前であれば、遅い到着でもコンビニが空いており、遅くまで開いている居酒屋などの飲食店もあるため、夜の胃袋対策も万全です。 - 2日目:
朝から大きな荷物をホテルに預けたまま、手ぶらで身軽に上田城や柳町(限定の亀齢やルヴァンのアツアツスコーン)を満喫!
午後、再び小諸駅へと戻り、昼の「HIGH RAIL 2号」に乗車します。復路で確保したのは、窓側を向いた1号車の「ペアシート」。夜とは一転し、大きな窓に広がる雄大な八ヶ岳の山並みを眺めながら小淵沢へ戻り、再び特急「あずさ」で東京へ帰京します。
【出発前の鉄則】小淵沢駅の罠!夕食は「あずさ乗車前」か「うけとりっぷ」で必ず確保
東京・新宿駅から特急「あずさ」に乗り込み、小淵沢駅で夜の「HIGH RAIL 星空」へ乗り換える際、大人のスマートな旅にするために絶対に忘れてはならない「胃袋の落とし穴」があります。
それは、「小淵沢駅に夜間到着すると、駅弁は跡形もなく完全に完売している」という過酷な現実です。


ご覧の通り、改札外の名店「MASAICHI」の売り場も、夜は驚くほど綺麗に空っぽになります。さらに終着の小諸駅周辺も到着時は飲食店が閉まっているため、事前に対策をしておかないと、満天の星空の下で悲しい思いをすることになってしまいます。
この罠を回避するための対策は2つ。あなたの予約タイミングに合わせて選んでください。
- ① 1ヶ月前〜4日前までに予約できるなら(推奨)
JR東日本のサービス「うけとりっぷ」を使い、お弁当を予約しておきましょう。これなら、車内で最高のディナータイムを始められます。 - ② 直前滑り込み予約で急に出発が決まったなら
うけとりっぷの予約期限が間に合わなかった場合は、小淵沢駅での調達はまず不可能です。必ず「特急あずさ」に乗車する前、東京駅や新宿駅の売店で贅沢な駅弁や夕食を買い込んでから列車に乗り込んでください。
【1日目・星空便】小淵沢から宇宙(そら)へ一番近い列車旅
お弁当を無事に手に入れたら、いよいよ夜の「HIGH RAIL 星空」へ乗車です。
今回私が確保したのは、1号車にある贅沢な「1人掛け席」。窓に向かって斜めに配置された独立シートで、誰にも邪魔されずに夜の静寂と車窓を楽しめる、最高の特等席です。

車内に一歩足を踏み入れると、そこはもう宇宙への入り口。座席シートは満天の星座を模したロマンチックなデザインで、2号車には本格的なプラネタリウム「ギャラリーHIGH RAIL」が仕込まれています。


列車は夜の甲斐駒ヶ岳のシルエットを眺めながら、標高日本一の区間へと坂を上っていきます。
🌌 【感動】野辺山駅で40分間の「降るような星空観察」
この旅最大のメインイベントは、日本で一番標高の高いJR駅「野辺山(のべやま)駅」での約40分間の停車時間に行われます。
星空案内人さんのライトに導かれて駅からすぐの公園へ。ここはでなんと、地元の自治体の全面協力によって、周囲の街灯や街の明かりがすべて消されているという粋な演出が。

本物の真っ暗闇。目が慣れていくにつれ、夜空に浮かび上がってくるのは、文字通り「降るような満天の星」でした。天の川の白い帯や、またたく星座の数々。星空案内人さんの優しい解説に耳を傾けながら、信州の澄んだ夜空を見上げる時間は、日々の忙しさを完全に忘れさせてくれる一生モノの感動体験です。
【プランナー流】車内販売を買いに行く「最高のタイミング」
星空の余韻に包まれながら車内に戻ったら、ここで1号車の物販カウンターへ向かう「最高のタイミング」が訪れます。
野辺山駅を出発した後は車内での大きなイベントがないため、実はここが一番ゆっくり食事やドリンクを楽しめる時間。乗客の皆さんもこのタイミングで一斉にカウンターへ足を運んでいました。
ここで狙うべきは、HIGH RAILならではのこだわりの詰まったクラフトビールです。
- 限定ビール「星のふる夜に」
この列車に乗った人しか買えない、旅情をそそるHIGH RAIL限定ビール。心の中で「スゴイヒエタビール」と命名(笑)(星空便ではスゴイカタイアイスの販売はありません)

特等席のテーブルに冷えたビールを置いて、車窓の闇を眺めながら喉を潤す。これ以上ない贅沢な余韻とともに、列車は終着の小諸駅へと滑り込みます。
小諸駅での45分の乗り継ぎ待ちを活用して、夜の静寂に浮かび上がる「小諸城址の大手門」まで静かな夜の散歩を楽しんだら、今夜の完璧なパズルを締めくる駅前ホテルへと向かいましょう。

【宿泊】旅のスタイルに合わせた宿の確保
小諸泊(<Course 1> ゆったり安心ルート)なら
宿泊は、乗客の多くが選択する駅近くの「小諸グランドキャッスルホテル」が正解。

Yahoo!トラベルで小諸グランドキャッスルホテルの空室を確認する
上田泊(<Course 2> 欲張り弾丸ルート)なら
夜遅い到着でもフロントがしっかり対応してくれ、翌朝の城下町への手ぶら観光が叶う、駅前の上質宿をキープしましょう。
一休.comでホテルルートインGrand上田駅前の空室を確認する
【2日目・上田観光】真田の歴史と、北国街道・柳町の「お腹が足りない」美食さんぽ
真田の息吹を感じる「上田城跡公園」と「真田神社」
2日目は、上田駅から徒歩圏内の歴史ロマンからスタート。真田氏の居城として名高い上田城跡では、本丸東虎口櫓門にある巨大な「真田石」の圧倒的な大きさにまず驚かされます。
敷地内にある「真田神社」は、鉄道旅の安全を願うのにもぴったりのパワースポット。
色鮮やかな「絵馬のトンネル」をくぐり、願いを込めた球を転がし願いを届ける「ねがい玉」を。最後はド迫力の「大欅(おおけやき)のご神木くぐり」を体験すれば、清々しいエネルギーで心が満たされるのを感じます。




🍶 北国街道・柳町:限定酒とアツアツの誘惑
千曲川の呼び水「保命水(ほうめいすい)」がこんこんと湧き出る、美しい石畳の柳町。ここは絶対にお土産袋と胃袋の容量を最大にして訪れてください。
- 岡崎酒造(亀齢):
いま全国の日本酒ファンがこぞって探している大人気の地酒「亀齢(きれい)」。なんと「1人1本限定購入」という貴重な逸品です。すっきりとした旨口の1本を無事に確保。 - そば・カフェ 勢登家(せとや):
醤油屋さん発祥のレトロでお洒落な名店。ここでカフェメニューやモーニングやランチを楽しむのが最高です。訪問時には、メニューには載っていない「シークレット日本酒の亀齢」をいただくことができました。お酒好きなら、一言声をかけてみる価値ありの隠れスポットです。 - 天然酵母パン ルヴァン:
全国のパン好きが聖地と仰ぐ名店。お土産用の量り売りパンを購入するだけでなく、イートインも。「スコーン」がちょうど焼き上がり、その場でいただきました。外はカリッと香ばしく、中はしっとり。口いっぱいに小麦の濃厚な香りが広がる瞬間は、旅の一番の思い出になりました。 - 柳町屋:
食べ歩きのお供には、名物「りんごどら焼き」を。もし週末に訪れるチャンスがあれば、限定の「りんごとチーズのタルト」も絶品なので外せません。お土産用にも購入。




上田駅前の特等席「みすず飴本舗 飯島商店 本店」
散策を終えて駅前へ戻る途中に、必ず立ち寄ってほしいのが「みすず飴本舗」の本店です。大正期に建てられた重厚な洋風建築は、まるで美術館のような美しさ。
館内では、さまざまな味の「みすず飴」の試食を楽しめるだけでなく、なんと美味しいリンゴジュースを無料でいただける極上のおもてなしまで。最初から最後まで、信州の優しさと美食に心が満たされる極上の散策ルートです。

【帰路の選択】絶景を追いかけるか、新幹線でスマートに引き算するか
楽しい上田観光を終えたら、東京への帰路につきます。ここであなたの体力やスケジュールに合わせて、最高のフィナーレを選びましょう。
🏔️ 選択肢A:昼の絶景を味わい尽くす「HIGH RAIL 2号」ルート(欲張り派)
「夜の星空だけでなく、昼の高原の絶景も両方見たい!」という方は、再びしなの鉄道で小諸駅へ戻り、昼に走る「HIGH RAIL 2号」へ乗り込みます。
復路の特等席は、窓側を向いて横並びに配置された1号車の「ペアシート」。

夜の星空便とは一転し、大きな窓の向こうには雄大な八ヶ岳の山並みや、のどかな高原の緑がダイナミックに流れていきます。途中、昼の野辺山駅にも停車。夜の幻想的な雰囲気とは違った爽やかな高原の空気を胸いっぱいに吸い込み、国立天文台の巨大なパラボラアンテナ(レーダー)を車窓に眺めながら小淵沢へ。そこから再び特急「あずさ」に乗り換えて東京へ戻る、大満足のコンプリート型ルートです。


🚄 選択肢B:新幹線ワープで体力を優しく守る「スマート帰宅」ルート(ゆったり派)
「1日目の星空便と2日目の上田観光で、大満足の体力を使い切った!」という方には、小諸へ引き返さず、上田駅から北陸新幹線に乗り込んで一瞬で東京へ帰るルートが非常におすすめです。
無駄な行き来の移動ストレスが完全にゼロになり、2日目の午後は新幹線の一等席でゆったりと柳町で手に入れた限定の「亀齢」やお土産のパンを眺めながら、夕方には自宅に到着できます。大人の体力を優しく守る、非常にスマートで贅沢な引き算の正解ルートです。
まとめ:あなたにぴったりのパズルで、信州の空と美食へ
「列車は移動手段ではなく、最高の目的地」。HIGH RAIL 1375が教えてくれたその感動を、東京からたった1泊2日でこれほど濃密に味わうことができます。
小諸グランドキャッスルホテルの天然温泉に癒やされる安心の王道旅にするか、新幹線や上田駅前の夜間対応ホテルを組み合わせてアツアツのスコーンや隠し酒に出会う欲張り旅にするか。すべてはあなたの自由です。
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